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伊香保温泉の二つ岳

投稿者:おーちゃん

二つ岳は、森林公園管理棟を起点として、鷲巣風穴から雌岳、雄岳に登頂し、蒸し湯経由で戻ってくるコースを採りました。釣鐘状の山体で、急斜面の中腹には、石段が30cm角ほどの石で丁寧に組み上げられており、伊香保温泉の歴史・財力を感じます。江戸時代から文人墨客が訪れていたと、雌岳登り口の避難小屋の説明板にありました。雌岳山頂は東半面の眺望が良く、高崎からは観音様の横顔に例えられる水沢山が急峻な三角形に見えました。雄岳山頂は逆に西半面が開け、相馬山・榛名富士・掃部が岳・びんずる岳・烏帽子岳が一望できました。

水沢山から見た二つ岳(右側釣鐘状の二峰)と相馬山(三角形)
 
処で、榛名山系の最後の噴火は1500年前のこの二つ岳と確認され、東麓に厚さ1.8mの火山性降下物、0.3mの火砕流の地層が見られるそうです。2012年にこの地層の下から、豪壮な鎧を着装し、西側榛名山方向に跪いた成人男性の人骨が発掘されました。離れたところには脱出する数十人の足跡も発見されました。人骨の主は、歯のストロンチウム同位体分析から信州伊那谷の出身、かつ同時に出土した鉄器・馬具などからヤマト政権との繋がりが想定され、鎧などから村の長(おさ)と目されているそうです。跪く姿勢は噴火する榛名山を鎮めようと祈り続けていたとの説が有力のようです。夫人と思われる成人女性1体、子供2体の計3体が傍に発見されたのが哀れです。(資料:群馬埋蔵文化財調査センター) 
2mを超える地下に埋もれ続けていた人が、1500年の時を経て、偶然にも上信自動車道の建設工事で発掘されたのは、彼のリーダーとしての矜持と鉄の意志に報いたようであり、厳粛な気持ちにさせられます。 


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